枕草子155段 むつかしげなるもの

見るに 枕草子
中巻中
155段
むつかしげ
えせもの

(旧)大系:155段
新大系:148段、新編全集:149段
(以上全て三巻本系列本。しかし後二本の構成は2/3が一致せず混乱を招くので、以後、三巻本理論の根本たる『(旧)大系』に準拠すべきと思う)
(旧)全集=能因本:159段
 


 
 むつかしげなるもの ぬひ物の裏。ねずみの子の毛もまだ生ひぬを、巣の中よりまろばし出でたる。裏まだつけぬ裘の縫ひ目。猫の耳の中。ことにきげならぬ所の暗き。
 

 ことなることなき人の、子などあまた持てあつかひたる。いとふかうしも心ざしなき妻の、心地あしうしてひさしうなやみたるも、男の心地はむつかしかるべし。
 
 

見るに 枕草子
中巻中
155段
むつかしげ
えせもの