紫式部集56 身の憂さは:原文対訳・逐語分析

55心だに 紫式部集
第六部
初々し出仕

56身の憂さは
異本91
57閉ぢたりし
原文
(実践女子大本)
現代語訳
(渋谷栄一)
注釈
【渋谷栄一】
初めて内裏わたりを見るにも、  初めて宮仕えして宮中のあたりを見るにつけても、 【初めて内裏わたりを見るにも】-紫式部が中宮彰子のもとに出仕したのは、寛弘二年(一〇〇五)十二月二十九日のこと。
もののあはれなれば、 しみじみと感慨深く思われるので、  
     
身の憂さは 身の嫌なことは、  
心のうちに 心の中では  
慕ひきて 宮中を慕ってきたが  
いま九重ぞ いま宮中を見て、幾重にも  
思ひ乱るる 物思いに心が乱れることよ