奥の細道 白河の関:原文対照



『おくのほそ道』
素龍清書原本 校訂
『新釈奥の細道』
   心もとなき日数重ぬるままに、 心もとなき日數かさなるまゝに
  白河の関にかかりて、旅心定まりぬ。 白川のせきにかゝりて旅心定りぬ
  「いかで都へ」と便り求めしも理なり。 いかで都へと便り求めしもことわりや
     
  なかにもこの関は三関の一にして、 中にも此關は三關の一にして
  風騒の人、心をとどむ。 風騷の人心をとゝむ
  秋風を耳に残し、紅葉をおもかげにして、 秋風を耳にのこし紅葉を俤にして
  青葉のこずゑ、なほあはれなり。 靑葉の梢猶哀なり
  卯の花の白妙に、茨の花の咲きそひて、 卯花の白妙に茨の花の咲そひて
  雪にも越ゆる心地ぞする。 雪にもこゆる心地そする
  古人冠を正し、衣装を改めしことなど、 古人冠を正し衣裝裳ノ誤也を改めし事など
  清輔の筆にもとどめおかれしとぞ。 淸輔の筆にとゞめ置れしとぞ
     

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 卯の花を かざしに関の 晴れ着かな 曾良  卯花を かざしに關の 晴着哉  曾良