徒然草27段 御国ゆづりの節会:原文

風も吹き 徒然草
第一部
27段
御国ゆづり
諒闇の年

 
 御国ゆづりの節会おこなはれて、剣璽、内侍所わたし奉らるるほどこそ、限りなう心細けれ。
 

 新院のおりさせ給ひての春、よませ給ひけるとかや、
 

♪2 殿守の とものみやつこ よそにして
  掃はぬ庭に 花ぞ散りしく

 
 今の世のことしげきにまぎれて、院には参る人もなきぞさびしげなる。
かかる折にぞ、人の心もあらはれぬべき。