徒然草83段 竹林院入道左大臣殿:原文

うすもの 徒然草
第三部
83段
竹林院入道
法顕三蔵

 
 竹林院入道左大臣殿、太政大臣にあがり給はんに、なにの滞りかおはせんなれども、「めづらしげなし。一の上にてやみなん」とて、出家し給ひて、相国の望みおはせざりけり。
 

 「亢龍の悔あり」とかやいふこと侍るなり。
月満ちては欠け、物盛りにしては衰ふ。
万の事、さきのつまりたるは、破れに近き道なり。