紫式部集14 祓へどの:原文対訳・逐語分析

13ほととぎす 紫式部集
第一部
若かりし頃

14祓へどの
15北へ行く
原文
(実践女子大本)
現代語訳
(渋谷栄一)
注釈
【渋谷栄一】
弥生の朔日、  三月の朔日に、 【弥生の朔日】-「朔日」は月の初め、一日の意があり、いずれとも特定できない。上巳の祓いの日。
河原に出でたるに、 賀茂の河原に出た時に、 【河原】-賀茂川の河原。
傍らなる車に 隣の牛車に  
法師の紙を冠にて、 法師が紙の冠をつけて、 【紙を冠にて】-紙の冠を着けて。どのような形か不明。
博士だちをるを 陰陽博士めいた格好をしているのを 【博士】-陰陽博士。
憎みて、 憎らしく思ったので、  
     
祓へどの 祓へどの  
神のかざりの 神の前に飾った  
みてぐらに 御幣に  
うたてもまがふ いやに似通った  
耳はさみかな 紙冠ですこと 【耳はさみ】-紙冠を耳にさし挟んだ格好をいう。