枕草子203段 ことにきらきらしからぬ男の

五月の長雨 枕草子
中巻下
203段
ことにきらきら
島は

(旧)大系:203段
新大系:189段、新編全集:190段末二段
(以上全て三巻本系列本。しかし後二本の構成は2/3が一致せず混乱を招くので、以後最も索引性に優れる三巻本理論の根本たる『(旧)大系』に準拠すべきと思う)
(旧)全集=能因本:ナシ
 


 
 ことにきらきらしからぬ男の、たかきみじかきあまたつれだちたるよりも、すこし乗り馴らしたる車のいとつややかなるに、牛飼童、なりいとつきづきしうて、うしのいたうはやりたるを、童はおくるるやうに綱ひかれて遣る。
 

 ほそやかなる男の、末濃だちたる袴、二藍かなにぞ、髪はいかにもいかにも、掻練、山吹など着たるが、沓のいとつややかなる、とうのもと近う走りたるは、なかなか心にくく見ゆ。
 
 

五月の長雨 枕草子
中巻下
203段
ことにきらきら
島は