古事記 不得地玉作~原文対訳

玉緒の謎かけ 古事記
中巻④
11代 垂仁天皇
サホ姫サホ彦兄妹物語
⑧不得地玉作
本牟智和氣
原文 書き下し
(武田祐吉)
現代語訳
(武田祐吉)
故其軍士等。 かれその軍士ども、 その兵士たちが
還來奏言。 還り來て、奏まをして言さく、 還つて來て申しましたには、
御髮自落。 「御髮おのづから落ち、 「御髮が自然に落ち、
御衣易破。 御衣破れ易く、 お召物は破れ易く、
亦所纒
御手之玉緒。
便絶故。
御手に纏まかせる
玉の緒も
すなはち絶えぬ。
御手に纏いておいでになる
玉の緒も
切れましたので、
不獲御祖。 かれ御祖を獲まつらず、 母君をばお取り申しません。
取得御子。 御子を取り得まつりき」とまをす。 御子は取つて參りました」と申しました。
     
爾天皇。 ここに天皇 そこで天皇は
悔恨而。 悔い恨みたまひて、 非常に殘念がつて、
惡作玉人等。 玉作りし人どもを惡にくまして、 玉を作つた人たちをお憎しみになつて、
皆奪其地。 その地ところをみな奪とりたまひき。 その領地を皆お奪とりになりました。
     
故諺曰
不得地玉作
也。
かれ諺ことわざに、
地ところ得ぬ玉作り
といふなり。
それで諺ことわざに、
「處ところを得ない玉作たまつくりだ」
というのです。
玉緒の謎かけ 古事記
中巻④
11代 垂仁天皇
サホ姫サホ彦兄妹物語
⑧不得地玉作
本牟智和氣