紫式部集 第三部:言い寄る夫

第二部
近江・越前
紫式部集
第三部
言い寄る夫
第四部
夫の死

詳解
定家本
和歌 人物
29 湖の 友呼ぶ千鳥 ことならば
 八十の湊に 声絶えなせそ
紫式部
30 四方の海に 塩焼く海人の から
 焼くとはかかる 投げ木をや積む
紫式部
31 紅の 涙ぞいとど 疎まるる
 移るの 色に見ゆれば
紫式部
32 閉ぢたりし 上の薄氷 けながら
 さは絶えねとや 山の下
紫式部
33 東風に くるばかりを 底見ゆる
 石間のは 絶えば絶えなむ
文散らしの人
34 言ひ絶えば
 さこそは絶えめ なにかその
 みはらの池を 包みしもせむ
紫式部
35 たけからぬ 人数なみは わきかへり
 みはらの池に 立てどかひなし
文散らしの人