徒然草242段 とこしなへに:原文

望月 徒然草
第六部
242段
とこしなへ
八つになりし

 
 とこしなへに違順に使はるる事は、ひとへに苦楽のためなり。
楽といふは、好み愛する事なり。
これを求むること、止む時なし。
楽欲する所、一つには名なり。
名に二種あり。
行跡と才芸との誉れなり。
二つには色欲、三つには味はひなり。
よろづの願ひ、この三つには如かず。
これ、顛倒の想より起こりて、若干の煩ひあり。
求めざらんには如かじ。