枕草子185段 したり顔なるもの

宮に 枕草子
中巻中
185段
したり顔
位こそ

(旧)大系:185段
新大系:178段、新編全集:178段
(以上全て三巻本系列本。しかし後二本の構成は2/3が一致せず混乱を招くので、以後、三巻本理論の根本たる『(旧)大系』に準拠すべきと思う)
(旧)全集=能因本:183段
 


 
 したり顔なるもの 正月一日に最初にはなひたる人。よろしき人はさしもなし。下﨟よ。きしろふたびの蔵人に子なしたる人のけしき。また、除目にその年の一の国得たる人。よろこびなどいひて、「いとかしこうなり給へり」などいふいらへに、「なにかは。いとこと様にほろびて侍るなれば」などいふも、いとしたり顔なり。
 

 また、いふ人おほく、いどみたる中に、選りて婿になりたるも、我はと思ひぬべし。受領したる人の宰相になりたるこそ、もとの君たちのなりあがりたるよりもしたり顔にけだかう、いみじうは思ひためれ。
 
 

宮に 枕草子
中巻中
185段
したり顔
位こそ