徒然草185段 城陸奥守泰盛:原文

相模守時頼 徒然草
第五部
185段
城陸奥守泰盛
吉田と申す馬乗り

 
 城陸奥守泰盛は、双なき馬乗りなりけり。
馬を引き出ださせけるに、足をそろへて閾をゆらりと越ゆるを見ては、「これは勇める馬なり」とて、鞍を置きかへさせけり。
また、足をのべて閾に蹴あてぬれば、「これは鈍くしてあやまちあるべし」とて乗らざりけり。
 

 道を知らざらむ人かばかり恐れなんや。