枕草子290段 時奏する、いみじうをかし

屋は 枕草子
下巻中
290段
時奏する
日のうらうら

(旧)大系:290段
新大系:271段、新編全集:272段
(以上全て三巻本系列本。しかし後二本の構成は2/3が一致せず混乱を招くので、以後は最も索引性に優れ三巻本理論の根本たる『(旧)大系』に準拠すべきと思う)
(旧)全集=能因本:269段
 


 
 時奏する、いみじうをかし。いみじう寒き夜中ばかりごほごほとごほめき、沓すり来て、弦うち鳴らしてなむ、「何のなにがし、時丑三つ、子四つ」など、はるかなる声にいひて、時の杭さす音など、いみじうをかし。「子九つ、丑八つ」などぞ、さとびたる人はいふ。すべて、なにもなにも、ただ四つのみぞ、杭にはさしける。
 
 

屋は 枕草子
下巻中
290段
時奏する
日のうらうら