紫式部集104 神代には:原文対訳・逐語分析

103九重に 紫式部集
第九部
宮中と女房

104神代には
異本99
105改めて
原文
実践女子大本
(定家本系筆頭)
現代語訳
(渋谷栄一)
注釈
【渋谷栄一】
桜の花の  桜の花が  
祭の日まで散り残りたる、 賀茂祭の日まで散り残っていたのを、 【祭の日】-賀茂祭(葵祭)の日、寛弘四年(一〇〇七)四月十九日の中の酉の日。
使の少将の 勅使の近衛少将の 【使の少将】-藤原頼宗、中宮彰子の異母兄妹。明子の子。
挿頭に賜ふとて、 挿頭に中宮から賜るというので、 【挿頭に賜ふ】-主語は中宮彰子。
葉に書く。 その葉に書く。  
     
神代には 神代には  
ありもやしけむ 有ったのでしょうか  
山桜 山桜を  
今日の挿頭に 今日の祭の挿頭のために  
折れるためしは 折り取った例は 【折れる】-実践本「おる」は定家の仮名遣い。
     

参考異本=後世の二次資料

 「四月祭の日まで、花ちり残りて侍りけるとし、その花を使少将のかざしにたまふ葉に書かきつけ侍りける  紫式部
神よには有りもやしけむ桜花今けふのかざしにをれるためしは」(寿本「新古今集」雑上 一四八五)