紫式部集98 心ゆく:原文対訳・逐語分析

97世にふるに 紫式部集
第八部
月影の人

98心ゆく
異本89
99多かりし
原文
実践女子大本
(定家本系筆頭)
現代語訳
(渋谷栄一)
注釈
【渋谷栄一】
又、  今度は、  
心地よげに言ひなさむとて、 気持ちよさそうに詠んでみようとして、  
     
心ゆく 心が晴れ晴れとする  
水のけしきは 水の様子は  
今日ぞ見る 今日見ました  
こや世に経つる これがこの世に生きる甲斐があると伝わった  
貝沼の池 貝沼の池でしょうか 【貝沼】-「貝沼」と「甲斐」の掛詞。
     

参考異本=後世の二次資料

 「かひぬまの池 未国 家集  紫式部
心ゆく水のけしきはけふぞ見るこやよにかへるかひ沼の池」(静嘉堂文庫本「夫木和歌抄」雑五 池 一〇七六二)