古事記~タカヒコネの歌 原文対訳

神度剣 古事記
上巻 第四部
国譲りの物語
タカヒコネの歌
建御雷神
原文 書き下し
(武田祐吉)
現代語訳
(武田祐吉)

阿治志貴高日子根神者。
かれ
阿治志貴高日子根の神は、
そこで
アヂシキタカヒコネの神が
忿而飛去之時。 忿いかりて飛び去りたまふ時に、 怒つて飛び去つた時に、
其伊呂妹
高比賣命。
その同母妹いろも
高比賣たかひめの命、
その妹の
下照る姫が
思顯其御名。 その御名を顯さむと思ほして 兄君のお名前を顯そうと思つて
故歌曰。 歌ひたまひしく、 歌つた歌は、
     
阿米那流夜 淤登多那婆多能  天なるや 弟棚機おとたなばたの 天の世界の 若わかい織姫おりひめの
宇那賀世流 多麻能美須麻流 うながせる 玉の御統みすまる、 首くびに懸けている 珠たまの飾かざり
美須麻流能 阿那陀麻波夜 御統に あな玉はや。 その珠の飾りの 大きい珠のような方
美多邇 布多和多良須 み谷たに 二ふたわたらす 谷たに 二ふたつ一度にお渡りになる
阿治志貴
多迦比古泥能迦微曾也
阿遲志貴高日子根
あぢしきたかひこねの神ぞ。
アヂシキ
タカヒコネの神でございます。
    と歌いました。
     
此歌者夷振也。  この歌は夷振ひなぶりなり。 この歌は夷振ひなぶりです。
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タカヒコネの歌
建御雷神