古事記 天の八十毘羅訶~原文対訳

富多多泥古 古事記
中巻③
10代 崇神天皇
大物主大神の疫病
天の八十毘羅訶
活玉依毘賣
原文 書き下し
(武田祐吉)
現代語訳
(武田祐吉)
又仰
伊迦賀色許男命。
また伊迦賀色許男
いかがしこをの命に仰せて、
イカガシコヲの命に命じて
天之
八十毘羅訶

〈此三字以音(也)〉
天の八十平瓮
やそひらかを作り、
祭に使う皿を
澤山作り、
定奉。
天神
地祇之社。
天つ神
地くにつ祇かみの社を
定めまつりたまひき。
天地の神々の社を
お定め申しました。
     
又於宇陀
墨坂神。
また宇陀うだの
墨坂すみさかの神に、
また宇陀うだの
墨坂すみさかの神に
祭赤色
楯矛。
赤色の
楯矛たてほこを祭り、
赤い色の
楯たて矛ほこを獻り、
又於大坂神。 また大坂おほさかの神に、 大坂の神に
祭黒色楯矛。 墨色の楯矛を祭り、 墨の色の楯矛を獻り、
又於
坂之御尾神。
また
坂さかの御尾みをの神、
また坂の上の神や
及河瀬神。 河かはの瀬せの神までに、 河の瀬の神に至るまでに
悉無遺忘。 悉に遺忘おつることなく 悉く殘るところなく
以奉幣帛也。 幣帛ぬさまつりたまひき。 幣帛へいはくを獻りました。
     
因此而。
疫氣悉息。
これに因りて
役えの氣け悉に息やみて、
これによつて
疫病えきびようが止んで
國家安平也。 國家みかど安平やすらぎき。 國家が平安になりました。
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大物主大神の疫病
天の八十毘羅訶
活玉依毘賣