徒然草213段 御前の火炉に火を置く時:原文

秋の月 徒然草
第六部
213段
御前の火炉
相夫恋

 
 御前の火炉に火を置く時は、火箸して挟むことなし。
土器より直ちに写すべし。
されば、転び落ちぬやうに心得て、炭を積むべきなり。
 

 八幡の御幸に、供奉の人、浄衣を着て、手にて炭をさされければ、ある有職の人、「白き物を着たる日は、火箸を用ゐる、苦しからず」と申されけり。