古事記 阿加流比売~原文対訳

天之日矛 古事記
中巻⑧
15代 応神天皇
新羅の天之日矛物語
2 難波のアカル姫
但馬国
原文 書き下し
(武田祐吉)
現代語訳
(武田祐吉)
爾其孃子。 ここにその孃子、 その孃子は、
常設種種之
珍味。
常に種種の
珍ためつ味ものを設けて、
常に種々の
珍味を作つて、
恒食其夫。 恆にその夫ひこぢに食はしめき。 いつもその夫に進めました。
     
故其國主之子。 かれその國主こにきしの子心奢りて、 しかるにその國王の子が心奢おごりして
心奢詈妻。 妻めを詈のりしかば、 妻を詈ののしりましたから、
其女人言。 その女人の言はく、 その女が
凡吾者。 「およそ吾は、 「大體わたくしは
非應爲汝妻之女。 汝いましの妻めになるべき女にあらず。 あなたの妻になるべき女ではございません。
將行吾祖之國。 吾が祖みおやの國に行かむ」といひて、 母上のいる國に行きましよう」と言つて、
即竊乘小船。 すなはち竊しのびて小を船に乘りて、 竊に小船に乘つて
逃遁渡來。 逃れ渡り來て、 逃げ渡つて來て
留于難波。 難波に留まりぬ。 難波に留まりました。
     
〈此者坐
難波之
比賣碁曾社。
謂阿加流比賣神者也〉
(こは難波の
比賣碁曾の社にます
阿加流比賣といふ神なり)
これは難波の
ヒメゴソの社においでになる
アカル姫という神です。
天之日矛 古事記
中巻⑧
15代 応神天皇
新羅の天之日矛物語
2 難波のアカル姫
但馬国