枕草子239段 三条の宮におはします頃

細殿に 枕草子
下巻上
239段
三条の宮に
御乳母の

(旧)大系:239段
新大系:222段、新編全集:223段
(以上全て三巻本系列本。しかし後二本の構成は2/3が一致せず混乱を招くので、以後は最も索引性に優れ三巻本理論の根本たる『(旧)大系』に準拠すべきと思う)
(旧)全集=能因本:216段
 

旧全集段冒頭:四条ノ宮におはしますころ


 
 三条の宮におはします頃、五日の菖蒲の輿などもて参り、薬玉参らせなどす。
 

 若き人々、御匣殿など、薬玉して姫宮、若宮に着けて奉らせ給ふ。いとをかしき薬玉ども、ほかより参らせたるに、青ざしといふ物を持て来たるを、あをき薄様を艶なる硯の蓋に敷きて、「これ、ませ越しに候ふ」とて参らせたれば、
 

♪23
  みな人の 花や蝶やと いそぐ日も
  わが心をば 君ぞ知りける
 

この紙の端をひき破らせ給ひて書かせ給へる、いとめでたし。
 
 

細殿に 枕草子
下巻上
239段
三条の宮に
御乳母の