古事記~佐知(幸)かえ=サシカエ 原文対訳

海佐知
山佐知
古事記
上巻 第五部
ホデリとホオリの物語
佐知(幸)かえ
(サシカエ)
カエサジ
原文 書き下し
(武田祐吉)
現代語訳
(武田祐吉)
爾火遠理命。 ここに火遠理ほをりの命、 ところでホヲリの命が
謂其兄
火照命。
その兄いろせ
火照ほでりの命に、
兄君
ホデリの命に、
各相易
佐知欲用。
「おのもおのも
幸易かへて用ゐむ」
と謂いひて、
「お互に道具えものを
取り易かえて使つて見よう」
と言つて、
三度雖乞。 三度乞はししかども、 三度乞われたけれども
不許。 許さざりき。 承知しませんでした。
然遂
纔得相易。
然れども遂に
わづかにえ易へたまひき。
しかし最後にようやく
取り易えることを承諾しました。
     
爾火遠理命。 ここに火遠理ほをりの命、 そこでホヲリの命が
以海佐知
釣魚。
海幸をもちて
魚な釣らすに、
釣道具を持つて
魚をお釣りになるのに、
都不得魚。 ふつに一つの魚だに得ず、 遂に一つも得られません。
亦其鉤
失海。
またその鉤つりばりをも
海に失ひたまひき。
その鉤はりまでも
海に失つてしまいました。

 

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