奥の細道 跋(ばつ):原文対照

大垣 奥の細道
跋(ばつ)
 


『おくのほそ道』
素龍清書原本 校訂
『新釈奥の細道』
なし
   からびたるも、艶なるも、
たくましきも、はかなげなるも、
 
  おくのほそ道見もてゆくに、  
  おぼえず起ちて手たたき、伏して群肝を刻む。  
     
  一般は蓑を着る着るかかる旅はせまほしと思ひ立ち、  
  一度は坐してまのあたり奇景を甘んず。  
  かくて百般の情に鮫人が玉を翰にしめしたり。  
  旅なるかな、器なるかな。  
  ただ嘆かしきは、かうやうの人のいとかよわげにて、  
  眉の霜のおきそふぞ。  
     
  元禄七年初夏  素龍書  
大垣 奥の細道
跋(ばつ)