古事記 大物主大神~原文対訳

宮と系譜 古事記
中巻③
10代 崇神天皇
大物主大神の疫病
富多多泥古
原文 書き下し
(武田祐吉)
現代語訳
(武田祐吉)
此天皇之御世。  この天皇の御世に  この天皇の御世に、
疫病多起。 「役病えやみ多さはに起り、 流行病が盛んに起つて、
人民死爲盡。 人民おほみたから盡きなむとしき。 人民がほとんど盡きようとしました。
爾天皇愁歎而。 ここに天皇愁歎うれへたまひて、 ここに天皇は、御憂慮遊ばされて、
坐神牀之夜。 神牀かむとこにましましける夜に、 神を祭つてお寢やすみになつた晩に、
大物主大神。 大物主おほものぬしの大神おほかみ、 オホモノヌシの大神が
顯於御夢曰。 御夢に顯はれてのりたまひしく、 御夢に顯れて仰せになるには、
     
是者
我之御心。
「こは
我あが御心なり。
「かように病氣がはやるのは
わたしの心である。
故以
意富多多泥古而。
かれ意富多多泥古
おほたたねこをもちて、
これは
オホタタネコをもつて
令祭我御前者。 我が御前に祭らしめたまはば、 わたしを祭らしめたならば、
神氣不起。 神の氣け起らず、 神のたたりが起らずに
國安平。 國も安平やすらかならむ」
とのりたまひき。
國も平和になるだろう」
と仰せられました。
宮と系譜 古事記
中巻③
10代 崇神天皇
大物主大神の疫病
富多多泥古