古事記 八田の菅原と一本菅の歌~原文対訳

三色の虫と大根 古事記
下巻①
16代 仁徳天皇
イワヒメ皇后の嫉妬
11 八田の菅原
女鳥王
原文 書き下し
(武田祐吉)
現代語訳
(武田祐吉)

すげはら=すげーはら(ナイスバディ)

     
天皇。  天皇、  天皇、

八田若郎女。
八田やたの
若郎女わかいらつめに
戀ひたまひて、
ヤタの若郎女を
お慕いになつて
賜遣御歌。 御歌を遣したまひき。 歌をお遣しになりました。
其歌曰。 その御歌、 その御歌は、
     
夜多能 八田の ヤタの
比登母登須宜波 一本菅ひともとすげは、 一本菅は、
古母多受 子持たず 子を持たずに
多知迦阿禮那牟 立ちか荒れなむ。 荒れてしまうだろうが、
阿多良須賀波良 あたら菅原すがはら。 惜しい菅原だ。
許登袁許曾 言ことをこそ 言葉でこそ
須宜波良登伊波米 菅原すげはらと言はめ。 菅原というが、
阿多良須賀志賣 あたら清すがし女め。 惜しい清らかな女だ。
     

独りでいてもしゃーない=恨み言

     
爾八田若郎女
答歌曰。
 ここに八田の若郎女、
答へ歌よみしたまひしく、
 ヤタの若郎女の
お返しの御歌は、
     
夜多能 八田の 八田やたの
比登母登須宜波 一本菅は 一本菅いつぽんすげは
比登理袁理登母 獨居りとも。 ひとりで居りましても、
意富岐彌斯 天皇おほきみし 陛下が
與斯登岐許佐婆 よしと聞こさば 良いと仰せになるなら、
比登理袁理登母 獨居りとも。 ひとりでおりましても。
     
故爲八田
若郎女之
御名代。
 かれ八田の
若郎女の
御名代として、
 
定八田部也。 八田部やたべを定めたまひき。  
三色の虫と大根 古事記
下巻①
16代 仁徳天皇
イワヒメ皇后の嫉妬
11 八田の菅原
女鳥王