奥の細道 天龍寺・永平寺:原文対照

汐越の松 奥の細道
天龍寺・永平寺
福井


『おくのほそ道』
素龍清書原本 校訂
『新釈奥の細道』
   丸岡天龍寺の長老、 丸岡天龍寺の長老
  古き因みあれば尋ぬ。 古きちなみあれば尋ぬ
  また、金沢の北枝といふ者、 亦金澤の北枝といふもの
  かりそめに見送りて、 かりそめに見過て
  この所まで慕ひ来る。 此所までしたひ來る
  所々の風景過ぐさず思ひ続けて、 所々の風景過さす思ひつゞけて
  をりふしあはれなる作意など聞こゆ。 折ふしあはれ成る作意など聞ゆ
  今すでに別れに臨みて、 今既に別れにのぞみて
     

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 物書きて 扇引きさく なごりかな  物かいて 扇引さく 名殘哉
     
   五十丁山に入りて、永平寺を礼す。 五十町山に入て永平寺を禮す
  道元禅師の御寺なり。 道元禪師の御寺也
  邦幾千里を避けて、 邦機千里を避て
  かかる山陰に跡を残し給ふも、 かゝる山陰に跡をのこし給ふも
  貴きゆゑありとかや。 貴きゆへありとかや
汐越の松 奥の細道
天龍寺・永平寺
福井