徒然草116段 寺院の号:原文

宿河原 徒然草
第三部
116段
寺院の号
友とするに

 
 寺院の号、さらぬよろづのものにも、名をつくること、昔の人は少しも求めず、ただありのままに、やすくつけるなり。
このごろは、深く案じ、才覚をあらはさむとしたるやうに聞こゆる、いとむつかし。
人の名も、目なれぬ文字をつかむとする、益なきことなり。
 

 何事も、珍しきことを求め、異説を好むは、浅才の人の必ずあることなりとぞ。