枕草子298段 節分違へなどして

坤元録の 枕草子
下巻下
298段
節分違へ
雪のいと

(旧)大系:298段
新大系:279段、新編全集:279段
(以上全て三巻本系列本。しかし後二本の構成は2/3が一致せず混乱を招くので、以後は最も索引性に優れ三巻本理論の根本たる『(旧)大系』に準拠すべきと思う)
(旧)全集=能因本:277段
 

旧全集段冒頭:方違へなどして


 
 節分違へなどして夜深く帰る、寒きこといとわりなく、おとがひなど落ちぬべきを、からうじて来着きて、火桶ひき寄せたるに、火のおほきにて、つゆ黒みたる所もなくめでたきを、こまかなる灰の中よりおこし出でたるこそ、いみじうをかしけれ。
 

 また、ものなどいひて、火の消ゆらむもしらずゐたるに、こと人の来て、炭入れておこすこそいとにくけれ。されど、めぐりに置きて、中に火をあらせたるはよし。みなほかざまに火をかきやりて、炭を重ね置きたるいただきに火を置きたる、いとむつかし。
 
 

坤元録の 枕草子
下巻下
298段
節分違へ
雪のいと