紫式部集125 誰れか世に:原文対訳・逐語分析

124暮れぬ間の 紫式部集
第十一部
終の予感

125誰れか世に
異本65
126亡き人を
原文
実践女子大本
(定家本系筆頭)
現代語訳
(渋谷栄一)
注釈
【渋谷栄一】
誰れか世に いったい誰が世に 【誰れか世に】-係助詞「か」、「見む」連体形に係る、係結びの法則。反語表現。今見ているこのわたしもいずれ見られなくなる気持ちの表出。
永らへて見む 永らえて見るのでしょう、  
書き留めし 書き留めた  
跡は消えせぬ 筆跡は消えない  
形見なれども 故人の形見ではありますが  
     

参考異本=後世の二次資料

 「上東門院小少将身まかりて後、つねにうちとけてかきかはしけるふみの、ものの中に侍りけるをみいでて、加賀少納言がもとにつかはしける 紫式部
たれかよにながらへてみむかきとめし跡はきえせぬかたみなれども」(寿本「新古今集」哀傷 八一七)