徒然草86段 惟継中納言は:原文

人の心 徒然草
第三部
86段
惟継中納言
下部に酒

 
 惟継中納言は、風月の才に富める人なり。
一生精進にて、読経うちして、寺法師の円伊僧正と同宿して侍りけるに、文保に三井寺焼かれし時、坊主にあひて、「御坊をば寺法師とこそ申しつれど、寺はなければ、今よりは法師とこそ申さめ」と言はれけり。
いみじき秀句なり。