徒然草81段 屏風障子などの:原文

人ごとに 徒然草
第三部
81段
屏風障子などの
うすもの

 
 屏風、障子などの絵も文字も、かたくななる筆様して書きたるが、見にくきよりも、宿の主のつたなく覚ゆるなり。
大方持てる調度にても、心おとりせらるる事はありぬべし。
さのみよき物を持つべしとにもああらず。
損ぜざらんためとて、品なくみにくきさまにしなし、めづらしからんとて、用なきことども添へ、わづらはしく好みなせるをいふなり。
古めかしきやうにて、いたくことことしからず、費もなくて、物がらのよきがよきなり。