古事記 スサノオの系譜~原文対訳

出雲国 古事記
上巻 第二部
スサノオの物語
系譜:至大國主神
因幡の白兎
原文 書き下し
(武田祐吉)
現代語訳
(武田祐吉)
故。其櫛名田比賣以。  その櫛名田比賣くしなだひめを  そこでそのクシナダ姫と
久美度邇起而。 隱處くみどに起して、 婚姻して
所生神名。 生みませる神の名は、 お生みになつた神樣は、
謂八嶋士奴美神。
〈自士下三字以音下效此〉
八島士奴美
やしまじぬみの神。
ヤシマジヌミの神です。
     
又娶大山津見神之女。 また大山津見の神の女むすめ またオホヤマツミの神の女の
名神大市比賣。 名は神大市かむおほち比賣に娶あひて カムオホチ姫と結婚をして
生子。 生みませる子、 生んだ子は、
大年神。 大年おほとしの神、 オホトシの神、
次宇迦之御魂神。
〈二柱。宇迦二字以音〉
次に宇迦うかの御魂みたま二柱。 次にウカノミタマです。
     
兄八嶋士奴美神。 兄みあに
八島士奴美の神、
兄の
ヤシマジヌミの神は
娶大山津見神之女。 大山津見の神の女、 オホヤマツミの神の女の

木花知流〈此二字以音〉比賣。
名は
木この花はな知流ちる比賣に娶あひて
木この花散はなちる姫と結婚して
生子。 生みませる子、 生んだ子は、
布波能母遲久奴須奴神。 布波能母遲久奴須奴
ふはのもぢくぬすぬの神。
フハノモヂクヌスヌの神です。
此神。 この神 この神が
娶淤迦美神之女。 淤迦美おかみの神の女、 オカミの神の女の
名日河比賣生子。 名は日河ひかは比賣に
娶ひて生みませる子、
ヒカハ姫と
結婚して生んだ子が
深淵之
水夜禮花神。
〈夜禮二字以音〉
深淵ふかふちの
水夜禮花みづやれはなの神。
フカブチノ
ミヅヤレハナの神です。
此神。 この神 この神が
娶天之都度閇知泥〈上〉神。
〈自都下五字以音〉
天の都度閇知泥
つどへちねの神に娶ひて
アメノツドヘチネの神と
結婚して
生子。 生みませる子、 生んだ子が
淤美豆奴神。
〈此神名以音〉
淤美豆奴おみづぬの神。 オミヅヌの神です。
此神。 この神 この神が
娶布怒豆怒神。
〈此神名以音〉之女。
布怒豆怒ふのづのの神の女、 フノヅノの神の女の

布帝耳〈上〉神
〈布帝二字以音〉生子。
名は
布帝耳ふてみみの神に
娶ひて生みませる子、
フテミミの神と
結婚して生んだ子が
天之冬衣神。 天の冬衣ふゆぎぬの神、 アメノフユギヌの神です。
此神。 この神 この神が
娶刺國大〈上〉神之女。 刺國大さしくにおほの神の女、 サシクニオホの神の女の
名刺國若比賣
生子。
名は刺國若比賣に
娶ひて生みませる子、
サシクニワカ姫と
結婚して生んだ子が
大國主神。 大國主の神。 大國主おおくにぬしの神です。
     
亦名謂
大穴牟遲神。
〈牟遲二字以音〉
またの名は
大穴牟遲
おほあなむぢの神といひ、
この大國主の神は
またの名を
オホアナムチの神とも
亦名謂
葦原色許男神。
〈色許二字以音〉
またの名は
葦原色許男
あしはらしこをの神といひ、
アシハラシコヲの神とも
亦名謂
八千矛神。
またの名は
八千矛
やちほこの神といひ、
ヤチホコの神とも
亦名謂
宇都志國玉神。
〈宇都志三字以音〉
またの名は
宇都志國玉
うつしくにたまの神といひ、
ウツシクニダマの神
とも申します。
并有五名。 并はせて
五つの名あり。
合わせてお名前が
五つありました。
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因幡の白兎