紫式部集67 澄める池の:原文対訳・逐語分析

66篝火の 紫式部集
第六部
初々し出仕

67澄める池の
異本117:日記歌3
(しかし日記にはない)
68影見ても
原文
(実践女子大本)
現代語訳
(渋谷栄一)
注釈
【渋谷栄一】
公事に  型通りに 【公事に】-型通りに。
言ひ紛らはすを、 言い紛らわしたのを、 【言ひ紛らはすを】-作者はつい涙ぐまれる嫌な身の上を本日の盛事を賛美して涙ぐんだことにした。
向かひたまへる人は、 向かい合っていらっしゃる方は、 【向かひたまへる人】-古本系の陽明文庫本には「大納言の君」とある。源扶義の娘。
さしも思ふこと それほどにも  
ものしたまふまじきかたち、 物思いがおありでないような容姿、  
ありさま、 有様、  
よはひのほどを、 年齢のほどなのに、  
いたう心深げに思ひ乱れて、 たいそう深刻に思い悩んで、  
     
澄める池の 澄んでいる池の  
底まで照らす 底まで照らす  
篝火の 篝火が  
まばゆきまでも まぶしく恥ずかしい  
憂きわが身かな 嫌なわが身ですこと