古事記 伊奢沙和気大神~原文対訳

忍熊王の歌 古事記
中巻⑦
14代 仲哀天皇
神功皇后の後日談
5 伊奢沙和気大神
気比大神
原文 書き下し
(武田祐吉)
現代語訳
(武田祐吉)
故建内宿禰命。  かれ建内の宿禰の命、  かくてタケシウチの宿禰が
率其太子。 その太子ひつぎのみこを率ゐまつりて、 その太子をおつれ申し上げて
爲將禊而。 御禊みそぎせむとして、 禊みそぎをしようとして
經歴
淡海及
若狹國之時。
淡海また
若狹の國を
經歴めぐりたまふ時に、
近江また
若狹わかさの國を
經た時に、
於高志前之
角鹿。
高志こしの前みちのくちの
角鹿つぬがに、
越前の
敦賀つるがに
造假宮而坐。 假宮を造りてませまつりき。 假宮を造つてお住ませ申し上げました。
     
爾坐其地。 ここに其地そこにます その時にその土地においでになる
伊奢沙和氣大神之命。 伊奢沙和氣いざさわけの大神の命、 イザサワケの大神が夜の夢にあらわれて、
見於夜夢。 夜の夢いめに見えて、  
云。
以吾名。
欲易御子之御名。
「吾が名を
御子の御名に易へまくほし」
とのりたまひき。
「わたしの名を
御子の名と取りかえたいと思う」
と仰せられました。
爾言祷。
白之。
ここに言祷ことほぎて
白さく、
そこで
恐隨命
易奉。
「恐し、命のまにまに、
易へまつらむ」
とまをす。
「それは恐れ多いことですから、
仰せの通りおかえ致しましよう」
と申しました。
忍熊王の歌 古事記
中巻⑦
14代 仲哀天皇
神功皇后の後日談
5 伊奢沙和気大神
気比大神