紫式部集36 折りて見ば:原文対訳・逐語分析

35たけからぬ 紫式部集
第四部
夫の死

36折りて見ば
37桃といふ
原文
(実践女子大本)
現代語訳
(渋谷栄一)
注釈
【渋谷栄一】
桜を瓶に挿して見るに、  桜を花瓶に挿して見ていると、  
とりもあへず散りければ、 すぐに散ってしまったので、  
桃の花を見やりて、 桃の花を眺めて、  
     
折りて見ば 手折ったら 【折りて見ば】-実践本「おる」は定家の仮名遣い。マ上一段活用動詞「見る」未然形+接続助詞「ば」順接の仮定条件。
近まさりせよ 近まさりしてください、  
桃の花 桃の花  
思ひ隈なき わたしの気持ちを理解しない 【思ひ隈なき】-思いやりがない、心が行き届かない。
桜惜しまじ 桜など惜しみません 【惜しまじ】-「おしむ」は定家の仮名遣い。