紫式部集77 白露は:原文対訳・逐語分析

76女郎花 紫式部集
第七部
栄花と追憶

77白露は
異本70
78忘るるは
原文
(実践女子大本)
現代語訳
(渋谷栄一)
〈適宜当サイトで改め〉
注釈
【渋谷栄一】
〈適宜当サイトで補注〉
と書きつけたるを、  と書いたのを、  
いととく、 とても素早く、  
     
白露は

白々しく涙は

白露は

【白露】-自分藤原道長を暗喩する。

〈しかしこれも前の歌76女郎花で論じた通り、式部の涙。

白露を道長とするのは文言に根拠がない。白も意味不明。

そもそも道長を何が何でも美化する見立てが御用系男的価値観で誤り〉

分きても置かじ

特に心にもなく流すものだろうよ

分け隔てをしないでしょう

【置かじ】-「をく」は定家の仮名遣い。
女郎花

女どもはな。

女郎花は

【女郎花】-紫式部を暗喩する。

〈おんなどもはな、としたのは独自〉

心からにや

心からなのか

自分から

〈係り結び。ここでは倒置での問いかけ〉
色の染むらむ

勝手に色づいて盛んに誘ってくるのは

色を染めたのではないでしょうか

〈盛りを補ったのは、76「女郎花盛りの色」から〉
     

参考異本=本人日記歌+後世の二次資料

*「しら露はわきてもおかじをみなへし心からにや色のそむらむ」(黒川本「紫日記」二)
*「返し  法成寺入道前摂政太政大臣
白露はわきてもおかじをみなへし心からにや色のそむらん」(寿本「新古今集」雑上 一五六八)