紫式部集100 三笠山:原文対訳・逐語分析

99多かりし 紫式部集
第九部
宮中と女房

100三笠山
異本95
101さし越えて
原文
実践女子大本
(定家本系筆頭)
現代語訳
(渋谷栄一)
注釈
【渋谷栄一】
中将、  中将の君や 【中将少将】-女房名。「中将」は素性不明、
少将と 少将の君などと 「少将」は小少将の君。
名ある人びとの、 呼び名を持った女房たちが、  
同じ細殿に住みて、 同じ細殿に住んでいて、  
少将の君を わたしが少将の君と  
夜な夜な逢ひつつ 毎晩逢って  
語らふを聞きて、 親しく語るのを聞いて、  
隣の中将、 隣の中将の君が、  
     
三笠山 三笠山の 【三笠山同じ麓】-「中将」「少将」が同じ近衛府の官人であることをいう。
同じ麓を 同じ麓なのに  
さしわきて 区別して 【さしわきて】-「さし」は「笠」の縁語。
霞に谷の 霞が谷を  
隔てつるかな 隔てるように分け隔てしていますね