紫式部集93 さして行く:原文対訳・逐語分析

92入る方は 紫式部集
第八部
月影の人

93さして行く
異本84
94おほかたの
原文
実践女子大本
(定家本系筆頭)
現代語訳
(渋谷栄一)
注釈
【渋谷栄一】
返し、  返歌、 【返し】-九二番歌への返歌。
     
さして行く 目指して行く  
山の端も 山の端も  
みなかき曇り みなすっかり曇って 【みなかき曇り】-あなたの機嫌が悪いから、と暗喩。
心も空に 心も上の空に消えてしまった  
消えし月影 月光〈月の面影〉です  
     

参考異本=後世の二次資料

 「返し  よみ人しらず
さしてゆく山の端はみなかきくもり心のそらにきえし月かげ」(寿本「新古今集」恋四 一二六三)