古事記 ちはやぶる宇治の渡歌~原文対訳

猪問答 古事記
中巻⑧
15代 応神天皇
大山守の乱
3 ちはやぶる宇治の渡歌
宇治の河原の前
原文 書き下し
(武田祐吉)
現代語訳
(武田祐吉)
渡到河中之時。 渡りて河中に到りし時に、 さて、渡つて河中に到りました時に、
令傾其船。 その船を傾かたぶけしめて、 その船を傾けさせて
墮入水中。 水の中に墮し入れき。 水の中に落し入れました。
     
爾乃浮出。 ここに浮き出でて、 そこで浮き出て
隨水流下。 水のまにまに流れ下りき。 水のまにまに流れ下りました。
即流歌曰。 すなはち流れつつ歌よみしたまひしく、 流れながら歌いました歌は、
     
知波夜夫流 ちはやぶる 流れの早い
宇遲能和多理邇 宇治の渡に、 宇治川の渡場に
佐袁斗理邇 棹取りに 棹を取るに
波夜祁牟比登斯 速はやけむ人し 早い人は
和賀毛古邇許牟 わが伴もこに來こむ。 わたしのなかまに來てくれ。
     
  と歌ひき。  
猪問答 古事記
中巻⑧
15代 応神天皇
大山守の乱
3 ちはやぶる宇治の渡歌
宇治の河原の前