徒然草113段 四十にも余りぬる人:原文

明日は遠き国 徒然草
第三部
113段
四十にも
今出川の大殿

 
 四十にも余りぬる人の、色めきたる方、おのづから忍びてあらんはいかがはせん、言に打ち出でて、男、女の事、人の上をも言ひ戯るるこそ、にげなく、見苦しけれ。
 

 大方、聞きにくく、見苦しき事、老人の、若き人に交はりて、興あらんと物言ひゐたる。
数ならぬ身にて、世の覚えある人を隔てなきさまに言ひたる。
貧しき所に、酒宴好み、客人に饗応せんときらめきたる。