枕草子312段 左右の衛門の尉を

よろしき男 枕草子
下巻下
312段
左右の衛門
大納言殿

(旧)大系:312段
新大系:292段、新編全集:292段
(以上全て三巻本系列本。しかし後二本の構成は2/3が一致せず混乱を招くので、以後は最も索引性に優れ三巻本理論の根本たる『(旧)大系』に準拠すべきと思う)
(旧)全集=能因本:ナシ
 


 
 左右の衛門の尉を、判官といふ名をつけて、いみじうおそろしう、かしこき者に思ひたるこそ。夜行し、細殿などに入り臥したる、いと見苦しかし。
 布の白袴、几帳にうちかけ、うへのきぬの長くところせきをわがねかけたる、いとつきなし。太刀の後にひきかけなどして立ちさまよふは、されどよし。青色をただつねに着たらば、いかにをかしからむ。「見し有明ぞ」と誰いひけむ。
 
 

よろしき男 枕草子
下巻下
312段
左右の衛門
大納言殿