枕草子307段 右衛門の尉なりける者の

日のいと 枕草子
下巻下
307段
右衛門の尉
小原の殿の

(旧)大系:307段
新大系:287段、新編全集:287段
(以上全て三巻本系列本。しかし後二本の構成は2/3が一致せず混乱を招くので、以後は最も索引性に優れ三巻本理論の根本たる『(旧)大系』に準拠すべきと思う)
(旧)全集=能因本:287段
 


 
 右衛門の尉なりける者の、えせなる男親を持たりて、人の見るにおもてぶせなりとくるしう思ひけるが、伊予の国よりのぼるとて、浪に落とし入れけるを、「人の心ばかり、あさましかりけることなし」とあさましがるほどに、七月十五日、盆たてまつるとていそぐを見給ひて、道命阿闍梨、
 

♪31
  わたつ海に 親おし入れて この主の
  盆する見るぞ あはれなりける
 

とよみ給ひけむこそをかしけれ。
 
 

日のいと 枕草子
下巻下
307段
右衛門の尉
小原の殿の