枕草子236段 ものへ行く路に

人の家に 枕草子
下巻上
236段
ものへ行く
よろづの

(旧)大系:236段
新大系:219段、新編全集:220段
(以上全て三巻本系列本。しかし後二本の構成は2/3が一致せず混乱を招くので、以後は最も索引性に優れ三巻本理論の根本たる『(旧)大系』に準拠すべきと思う)
(旧)全集=能因本:212段
 

新旧全集段冒頭:物へ行く道に、清げなるをのこの


 
 ものへ行く路に、きよげなる男のほそやかなるが、立文もちていそぎ行くこそ、いづちならむと見ゆれ。
 

 また、きよげなるわらはべなどの、衵どものいとあざやかなるにはあらで、なえばみたるに、屐子のつややかなるが歯に土おほくつきたるを履きて、白き紙におほきに包みたる物、もしは箱の蓋に草子どもなど入れて持ていくこそ、いみじう、呼びよせて見まほしけれ。
 

 門近くなる所の前わたりを呼び入るるに、愛敬なく、いらへもせでいく者は、使ふらむ人こそおしはからるれ。
 
 

人の家に 枕草子
下巻上
236段
ものへ行く
よろづの