紫式部集50 かへりては:原文対訳・逐語分析

49世とともに 紫式部集
第五部
転機

50かへりては
51誰が里の
原文
(実践女子大本)
現代語訳
(渋谷栄一)
注釈
【渋谷栄一】
と恨みたりける返り事、  と恨んで寄越した返事に、  
     
かへりては お帰りになって 【かへりては】-波が「返りて」とあなたが「帰りて」の掛詞。
思ひ知りぬや わたしの思いがお分かりになったでしょうか、  
岩角に 岩角に  
浮きて寄りける 浮わついて打ち寄せた  
岸のあだ波 岸のあだ波のあなたには  
     

参考異本=後世の二次資料

 「いそべに浪はよせずとやみし、と申しつかはしたりける人の返事に  紫式部
返りてはおもひしりぬやいはかどにうきてよりける岸のあだ浪」(尊経閣文庫本「続拾遺集」恋五 一〇三七)