徒然草72段 賎しげなるもの:原文

名を聞くより 徒然草
第二部
72段
賎しげなる
世に語り

 
 賎しげなるもの。
居たるあたりに調度の多き。
硯に附での多き。
持仏堂に仏の多き。
前裁に石、草木の多き。
家の内に子、孫の多き。
人にあひて詞の多き。
願文に作善多く書きのせたる。
 

 多くて見苦しからぬは、文車の文、塵塚の塵。