枕草子46段 細殿に人あまたゐて

にげなき 枕草子
上巻中
46段
細殿に
主殿司

(旧)大系:46段
新大系:43段、新編全集:44段
(以上全て三巻本系列本。しかし後二本の構成は2/3が一致せず、混乱を招くので、三巻本理論の根本たる『(旧)大系』に準拠すべきと思う)
(旧)全集=能因本:53段
 


 
 細殿に人あまたゐて、やすからず物などいふに、きよげなるをとこ、小舎人童など、よきつつみ、袋などに、衣どもつつみて、指貫のくくりなどぞみえたる、弓、矢、楯など持てありくに、「たがぞ」と問へば、ついゐて、「なにがし殿の」とていく者はよし。けしきばみ、やさしがりて、「知らず」ともいひ、物もいはでも往ぬる者は、いみじうにくし。