紫式部集78 忘るるは:原文対訳・逐語分析

77白露は 紫式部集
第七部
栄花と追憶

78忘るるは
異本62
79誰が里も
原文
(実践女子大本)
現代語訳
(渋谷栄一)
注釈
【渋谷栄一】
久しく訪れぬ人を  久しく訪れなかった人を 【久しく訪れぬ人】-夫の宣孝か。実践本「をとつる」は定家の仮名遣い。
思ひ出でたる折、 思い出した折、 【折】-「おり」は定家の仮名遣い。
     
忘るるは 人を忘れることは  
憂き世の常と 嫌な世の常と  
思ふにも 思うにつけても  
身をやる方の わが身のやり場が  
なきぞ侘びぬる ないのが寂しく泣き暮らしています 【なきぞ】-「無き」に「泣き」を掛ける。
(四行空白) (四行空白)  
     

参考異本=後世の二次資料

 「題不知  紫式部
「わするるはうきよのつねとおもふにもみをやるかたのなきぞわびぬる」(陽明文庫本「千載集」恋五 九〇八)