古事記~イザナギとイザナミ下命:オノゴロ島 原文対訳

神世七代 古事記
上巻 第一部
イザナギとイザナミ
オノゴロ島
国生み①
原文 書き下し
(武田祐吉)
現代語訳
(武田祐吉)
於是
天神諸命以。
 ここに
天つ神
諸もろもろの命みこと以もちて、
 そこで
天の神樣方の仰せで、

伊邪那岐命
伊邪那美命
二柱神。
伊耶那岐いざなぎの命
伊耶那美いざなみの命
の二柱の神に詔のりたまひて、
イザナギの命みこと・
イザナミの命みこと
御二方
おふたかたに、
修理固成
是多陀用幣流
之國。
この漂へる國を
修理をさめ固め成せと、
「この漂つている國を
整えてしつかりと作り固めよ」とて、

天沼矛
而。
天あめの
沼矛ぬぼこを
賜ひて、
りつぱな
矛ほこを
お授けになつて
言依賜也。 言依ことよさしたまひき。 仰せつけられました。
     

二柱神立
かれ
二柱の神、
それで
この御二方
おふたかたの神樣は
天浮橋而。
〈訓立云多多志〉
天あめの
浮橋うきはしに立たして、
天からの
階段にお立ちになつて、
指下
其沼矛以
畫者。
その沼矛ぬぼこを
指さし下おろして
畫きたまひ、
その矛ほこを
さしおろして
下の世界をかき廻され、

許袁呂
許袁呂邇
〈此七字以音〉
畫鳴
〈訓鳴云那志〉而。

こをろこをろに
畫き鳴なして、
海水を
音を立てて
かき廻して
引上時。 引き上げたまひし時に、 引きあげられた時に、
自其矛末
垂落之鹽。
その矛の末さきより
滴したたる鹽の
矛の先から
滴したゝる海水が、
累積成嶋。 積りて成れる島は、 積つて島となりました。

淤能碁呂嶋。
淤能碁呂
おのごろ島なり。
これが
オノゴロ島です。
〈自淤以下
四字以音〉
   
神世七代 古事記
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オノゴロ島
国生み①