徒然草160段 門に額懸くるを:原文

みなむすび 徒然草
第四部
160段
門に額懸くる
花の盛りは

 
 門に額懸くるを「打つ」と言ふはよからぬにや。
勘解由小路二品禅門は、「額懸くる」と宣ひき。
「見物の桟敷打つ」もよからぬにや。
「平張打つ」などは、常の事なり。
「桟敷構ふる」など言ふべし。
「護摩焚く」と言ふもわろし。
「修する」「護摩する」など言ふなり。
「行法も、法の字を清みて言ふ、わろし。濁りて言ふ」と、清閑寺僧正仰せられき。
常に言ふ事に、かかる事のみ多し。