古事記 和邇吉師(王仁)~原文対訳

渡来人 古事記
中巻⑧
15代 応神天皇
文化の渡来
2 和邇吉師
ススコリのマッコリ
原文 書き下し
(武田祐吉)
現代語訳
(武田祐吉)

論語と千字文(文化の渡来)

     
又科賜。
百濟國。
若有賢人者貢上。
また百濟の國に仰せたまひて、
「もし賢さかし人あらば貢れ」
とのりたまひき。
また百濟の國に、
もし賢人があれば貢れと
仰せられましたから、
     
故受命以貢上人。 かれ命を受けて貢れる人、 命を受けて貢つた人は
名和邇吉師。 名は和邇吉師わにきし、 ワニキシといい、
即論語十卷。 すなはち論語十卷とまき、 論語十卷・
千字文一卷。 千字文一卷、 千字文じもん一卷、
并十一卷。 并はせて十一卷とをまりひとまきを、 合わせて十一卷を
付是人即貢進。 この人に付けて貢りき。 この人に付けて貢りました。
     
〈此和邇吉師者。
文首等祖〉
この和爾吉師は
文の首等が祖なり。
 
     

技術の渡来

     
又貢上。手人
韓鍛。名卓素。
亦呉服西素
二人也。
また手人
韓鍛からかぬち名は卓素たくそ、
また呉服くれはとり西素さいそ
二人を貢りき。
また工人の
鍛冶屋かじや卓素たくそという者、
また機はたを織る西素さいその
二人をも貢りました。
     
又秦造之祖。 また秦はたの造みやつこの祖、 秦はたの造みやつこ、
漢直之祖。 漢あやの直あたへの祖、 漢あやの直あたえの祖先、
及知釀酒人。
名仁番。
亦名須須許理等。
また酒みきを釀かむことを知れる人、
名は仁番にほ、
またの名は須須許理すすこり等、
それから酒を造ることを知しつている
ニホ、
またの名なをススコリという者等も
參渡來也。 まゐ渡り來つ。 渡つて參りました。
渡来人 古事記
中巻⑧
15代 応神天皇
文化の渡来
2 和邇吉師
ススコリのマッコリ