枕草子192段 いみじう暑き昼中に

すきずきし 枕草子
中巻下
192段
いみじう暑き昼中
南ならずは

(旧)大系:192段
新大系:183段、新編全集:183段
(以上全て三巻本系列本。しかし後二本の構成は2/3が一致せず混乱を招くので、以後最も索引性に優れる三巻本理論の根本たる『(旧)大系』に準拠すべきと思う)
(旧)全集=能因本:ナシ
 


 
 いみじう暑き昼中に、いかなるわざをせむと、扇の風もぬるし、氷水に手をひたし、もてさわぐほどに、こちたう赤き薄様を、唐撫子のいみじう咲きたるに結びつけて、とり入れたるこそ、書きつらむほどの暑さ、心ざしのほど浅からずおしはかられて、かつ使ひつるだにあかずおぼゆる扇もうち置かれぬれ。
 
 

すきずきし 枕草子
中巻下
192段
いみじう暑き昼中
南ならずは